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「自己破産」に関するお役立ち情報

自己破産で破産管財人に聞かれる内容への対応方法

  • 文責:所長 弁護士 佐藤高宏
  • 最終更新日:2025年1月7日

自己破産手続は、裁判所を利用して、支払い切れない借金などの金銭支払義務、つまり「債務」を、全額免除してもらえる債務整理手続です。

本来なら返済しなければならない借金を、債権者に損害を与えてまで裁判所が免除するわけですから、自己破産手続の中では厳格な調査が行われます。

この調査のために、裁判所に選任された「破産管財人」が、裁判所に代わり大きな役割を果たすこともあります。

借金を免除してもらう側の債務者が、そんな裁判所や破産管財人に対して「不誠実な対応」をすると、借金が免除されないなど、重大な不利益を受けるリスクが生じる恐れがあります。

このコラムでは、借金が免除されない恐れが生じる裁判所や破産管財人への不誠実な対応とはどのようなものかを説明します。

1 自己破産手続で破産管財人が選任されるケース

実は、自己破産の全てのケースにおいて破産管財人が選任されるわけではありません。

破産管財人が選任されるのは、以下のようなケースです。

⑴ 債務者に一定以上の財産がある

自己破産手続は、債務者からすれば、借金などの債務の全額を免除してもらえる有難い手続です。

しかし、債権者からすれば、借金の免除により大損害を受けてしまうものです。

そのため、債権者は、債務者の財産が一定以上あれば、それから配当を受け取ることができます。

破産管財人は、この財産をお金に換えて債権者に配当をするために、裁判所から選任されます。

裁判所も破産管財人も、自己破産による債権者への損害を穴埋めするために、配当手続を非常に重要視しています。

一方で、債権者に配当をするほどの財産を債務者が持っていない場合は、破産管財人は選任されません。

⑵ 免責不許可事由がある

財産の有無の他にも、破産管財人が選任されるケースがあります。

それは、免責不許可事由がある場合です。

「免責不許可事由」とは、借金を免除にするには不適切な事情のことで、典型は浪費です。

「免責」とは、自己破産手続で借金が免除されることを言います

法律の上では、免責不許可事由があると借金を免除してもらえないことが原則とされています。

破産管財人は、免責不許可事由がある場合にも選任され、免責不許可事由の内容を調査します。

しかし、免責不許可事由がある債務者でも、実際には多くの場合、「裁量免責」により借金を免除してもらっています。

裁量免責とは、裁判所が、債務者のあらゆる事情を考えたうえで免責をするものです。

裁判所は、破産管財人による調査報告書や意見書、債務者の反省文等に基づいて裁量免責するかどうかを判断しますから、破産管財人の免責不許可事由に関する調査や判断が大きな影響を持ちます。

裁量免責の判断では、免責不許可事由の悪質性と免責不許可事由に関する債務者の態度が考慮されます。

従って、裁判所や破産管財人に不誠実な対応は、裁量免責をしてもらえないリスクを非常に大きくします。

2 財産の配当に関する注意点

繰り返しますが、配当手続は、債権者の不利益を少しでも少なくするために非常に重要なものです。

配当手続やその準備としての財産調査などにおいて、債権者の利益を守ろうとする裁判所や破産管財人に対して不誠実な対応をとってしまうと、非常に悪質な免責不許可事由とみなされやすいです。

最悪の場合、破産詐欺罪という犯罪になる可能性すらあります。

⑴ 虚偽の説明をしないこと

裁判所は、配当できる財産があるのか・配当先の債権者は誰か・債権者が持つ債権の金額などを調査します。

債務者が、裁判所からの上記の財産や借金の状況に関する質問に対して、説明を拒否し、または、嘘の説明をすることは、免責不許可事由とされています。

また、友人など身近な人からの借入があるときに、人間関係の問題から友人にだけは返済したい、その友人を債権者として裁判所に申告したくないという方が多くいらっしゃいます。

しかし、裁判所に提出する債権者一覧表にわざと債権者を記載しないなど、嘘の記載・申告をすると、これも免責不許可事由になってしまいます。

自己破産手続では、債権者はサラ金であろうと親友であろうと、債権者であれば平等に扱う必要があります。

これを「債権者平等の原則」と言います。

債権者平等の原則がある以上、友人であっても債権者として申告することが必要です。

⑵ 裁判所や管財人の妨害をしないこと

債務者が、不正な手段で破産管財人の中心的な職務である財産の配当処理を妨害すれば、免責不許可事由になります。

「妨害」とは、わかりやすいものでは、配当すべき財産を引き渡さない、財産資料の提出拒否などがあります。

しかし、実際には、資料の提出が遅い、面談をドタキャンするなど、破産管財人からの協力の依頼に誠意をもって応じなければ、広く配当に関する「職務を妨害した」とされる恐れがあります。

免責不許可事由とならなくとも、破産管財人は裁量免責すべきかの意見を裁判所に報告することを忘れてはいけません。

反省の色が見られないとして、裁量免責すべきでないと裁判所に意見をされてしまいかねないのです。

⑶ 提出すべき資料の廃棄や偽造をしないこと

裁判所や破産管財人は、配当手続等のために、預貯金や不動産、退職金など、財産に関する様々な資料の提出を債務者に要求します。

「債務者がわざと提出を要求された資料を捨て、または隠すなどして、財産の内容をわからなくしようとすること」「書類の内容を偽造して実際にある財産を少なく見せかるようとすること」などは、財産の状況に関する書類などについての不誠実な対応として、免責不許可事由になります。

3 免責不許可事由(裁量免責)に関する注意点

裁判所や破産管財人は、債務者の免責不許可事由の有無や内容の調査を行い、債務者はその調査に協力することが義務付けられています。

各裁判所でタイミングは異なりますが、裁判官は、申立て直後や手続終了直前に、債務者と面接して、免責不許可事由について質問をすることがあります。

また、破産管財人は、手続開始直後の面談以降、手続を通じて調査を継続し、必要に応じて債務者と定期面談をして免責不許可事由について質問をします。

裁判所や破産管財人からの免責不許可事由に関する質問に答えない、欠席する、嘘をつく、資料を提出しない、資料を偽造するなど、免責不許可事由の調査に誠意をもって協力しないことは、それ自体がまた別の免責不許可事由です。

悪質な免責不許可事由があっても、誠意を持って対応すれば、裁量免責をしてもらえる可能性はあります。

しかし、免責不許可事由の調査について、不誠実な対応を重ねれば、反省が見られないとして、裁量免責をしてもらえない可能性が高くなります。

4 裁判所や破産管財人への対応のポイントまとめ

裁判所や破産管財人への対応については、「誠実な態度」をもって接することに尽きます。

裁量免責の仕組みの説明で触れた通り、免責をすべきかの判断では、債務者の態度が非常に重要視されます。

反省を誠実な態度で示して、更生の意思を裁判所や破産管財人に見せれば、多くの場合は裁量免責をしてもらえます。

財産隠しなど、非常に悪質とされる免責不許可事由をしてしまっても、正直に告白して手続を修正することに誠心誠意協力することで、裁量免責してもらえる可能性はまだ残っています。

とはいえ、反省文を提出する、反省の言葉を口にするだけでは足りません。

行動が伴うことが重要です。

そうしなければ、裁判所や破産管財人は、債務者を信用してくれません。

言いたくないことでも、正直に、事実をありのままに説明しましょう。また、指示されたことはすぐに丁寧に行いましょう。

できる限りで、積極的に協力することが大事です。

5 裁判所や破産管財人への対応も弁護士に相談を

裁判所や破産管財人への誠意ある対応とは、結局、一般社会常識に尽きるようにも思えます。

しかし、借金のストレスの中、自己破産手続という重大な債務整理手続のなかで、専門的な知識を持たない方が裁判所や破産管財人に一人で対応しようとすると、誤解やすれ違いから、対応を誤るリスクがあります。

・後ろめたさのあまり、具体的な事実を正直に言えなくなる

・大量の資料の収集が遅れ、指示された〆切を守れない

・協力を要求されたことの意味が分からず、不十分な対応をしてしまう

といったことで、裁判所や破産管財人から誤解を受けないよう、まずは、自己破産のサポート経験が豊富な弁護士に依頼して、助言を受けましょう。

裁判官や破産管財人との面接の際には弁護士が付いて来てくれますし、書類を代理で収集・作成したり、アドバイスをしたりすることも可能です。

当法人では、これまで多数の自己破産手続を受任し、破産管財人への対応に熟達した弁護士が多数在籍しております。

借金問題にお困りの皆様のご相談をお待ちしております。

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