「任意整理」に関するお役立ち情報
預金を差押えられている状態での任意整理
1 預金を差押えられている状態でも任意整理はできます
返済の滞納が続き、強制執行によって預金を差押えられてしまっている状態でも、任意整理を行うことはできます。
もっとも、注意すべき点が2つあります。
まず、弁護士に任意整理を依頼しても、すぐに預金の差押えが解除されるとは限らないということです。
次に、差押えを受けていない場合と比べ、貸金業者等からは厳しい返済条件を提案される可能性があります。
以下、時系列に沿って、預金が差し押さえられている場合の任意整理の流れを説明します。
2 任意整理の依頼~弁護士費用の積立て
弁護士に任意整理を依頼すると、まず貸金業者等に対し、弁護士が任意整理の代理人になった旨を伝える書面(受任通知)が送付されます。
受任通知が貸金業者等に届いた後は、取立てが一旦止まります。
取立てが止まるのみであり、裁判所によってなされている預金の差押えが解除されるわけではない点に注意が必要です。
差押えられる預金の範囲は、あくまでも金融機関が差押え命令を受け取った時点のものです。
差押え後に口座に入る給与等は、受け取ることができます。
給与等から、毎月弁護士費用の積み立てを行っていきます。
積立てた金額が着手金相当額に達しましたら、貸金業者等と返済条件に関する交渉を開始します。
3 交渉開始~和解成立または和解不成立
一般的には、任意整理をすると残債務の元金、経過利息、遅延損害金の合計額を36~60か月で分割返済できるようになります。
実際の交渉の際には、債務者の方の月々の手取り収入から生活費を控除した残額と、任意整理後の月々の想定返済額を比較し、返済可能といえる分割回数を貸金業者等に提案します。
債務者側の提案内容で合意できた場合、和解書(「示談書」や「準金銭消費貸借契約」というタイトルの場合もあります。)を作成し、任意整理は終了します。
預金の差押えを受けている場合、交渉が難航する可能性があります。
長い期間返済の滞納があり、かつ訴訟の提起や支払督促の申立てがなされて強制執行に及んでいることから、貸金業者等には大きな負担が発生しています。
そのため、任意整理に応じないと回答されることや、少ない分割回数で返済をするよう提案されることも考えられます。
交渉が平行線になってしまい、任意整理はできないという場合には、自己破産や個人再生を検討することになります。